虚像
田島オスカー



虚像の滲みが 君を遠ざけてゆくので
僕のほうこそ滲んでしまって
実はもう消えてしまいそうだ

のばした手が 精一杯で
君はもちろん虚像だから
つまり 精一杯も届かない

ああ真っ暗闇が薄くなってゆく
ぼんやりと滲んだ虚像は
君の笑顔だった気もするよ
僕は一枚隔てた向こうに今も
君の虚像を見ているよ
でももう暗闇はなくなって
どこもかしこも真っ白くなって
もうじき滲みも薄れ なくなってしまうだろう

隔てられて さわれないし
虚像だから 届かないけれど
涙に滲むほど 焦がれたよ

君からは 実像で見えていたはずの


 


自由詩 虚像 Copyright 田島オスカー 2004-05-10 03:14:20
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