今夜も、裸体に祈るまでの虚ろな眼球で
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とじたふくぶの所々にぬらめく私の臓器、とても愛苦しそうに斑点模様のあかぐろくろずんだとびら、ワインの味がしみたドアノブ、明かりのスイッチは、どこに、あるの、白い電話機が鳴る、そのボタンのイルミネーションが、明かりのスイッチを灯した。切れた電子音の跡に訪れた心臓から首根っこまでのむず痒い痺れ、ガラステーブルに両手指の第一間接をなぞらせながら、四角いガラス椅子に猫背のまま、綺麗に座る、鋭く尖った有刺鉄線を触れるように
しばらくの間、呼吸の仕方を忘れていたので、視界はぼやけ、頭がくらくらとしていた。でも、窓にかかるわずかな風の音や隣人の足音、囁くような会話、ドアの開閉音は私の耳にはっきりと聞こえてきた。聴覚が過敏になっている。
おもたくなった体をガラステーブルに、両手指の第一間接に重心をおきながら椅子から立つ、食事の準備をする為に、私はキッチンまで歩く
私は何時も少食で済ませる。今日もコーンスープのみ、ゆっくり味わうこともなく食べ終わる。そして、独りで一皿の食器を台所で、洗剤の付いていないスポンジを使って洗う
雨が多く降る時期、切れかけた蛍光灯が点滅を繰返しながら深くて鈍い色を部屋中にしみわたらせていた
痩せこけて濁った私の背中のように汚い色
私は渇ききった裸体をシーツに押しつけた
こんな夜に、美しい合唱歌と怠慢の洪水を
愛しい裸体よ