やさしい怪獣
tonpekep

かいだんを
果てまで上ることにした
上にのぼる程に
ところどころこわれたヶ所があって
下をのぞき込んだら
いっぱいなみだが落ちた

高さには差があるけれど
ひとはそれぞれ
頂を所有しているらしく
そこから流れる水のようなものが
たぶんこころっていうもんなんだろう

幾つかの分水嶺で
それはたのしくなったり
腹が立ったり
かなしくなったりする
わたしたちはきっと
単純な流れで出来ているに違いない

やさしい怪獣が
こども達と鬼ごっこをしている
わたしも仲まになろうとするけれど
案山子のように鬼ごっこのあいだで
突き刺さっている
たくさんの会話を包んだ
ふろしきをぶら下げながら


自由詩 やさしい怪獣 Copyright tonpekep 2007-05-30 19:39:36
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