アン アップル
雨宮 之人

たったひとつの言葉を抱えて
俺たちは生まれてきたんだ
でも最初にリンゴをかじった日から
あんまり月日が流れていって
別れ別れになって俺たちは、忘れていった

それからどれだけ俺たちは独りで
気付けばどれだけ俺たちは二人で、違う、それ以上で
あなたに、そうだあなたに
愛されていて、許されていて
それなのに明日がくることを
どれだけ当たり前だと思っていて

それはずっと前から知っていたんだった
同じようにリンゴの味で思い出した
たったひとつだってことを、俺たちは
それだけを、知っていたんだって

だからそれぞれの場所で
歌を、歌うんだよ


ハレルヤ


歌があふれるから
この世界を、俺は愛せる
同じように、あなたのことも

あの日のことを俺は忘れない
それを知った最初の日を忘れない
何もかも、知っている
思い出している
俺たちは、そうだ、俺たちは
毎日を許されて与えられて
こことそこに、こうやって立っている

悪いことを続ける両手もそのままに

それでも何度だって
誰だって俺は愛せるだろう
知っているんだよ
この世界に何が必要かってことくらいはさ


自由詩 アン アップル Copyright 雨宮 之人 2007-05-29 09:09:34
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