灯す
瓜田タカヤ


知らぬ盛り場の暗闇で
合金が茹だり少女の吐息を赤く待つ今夜
古い毛皮を人毛と取り違え
それは
それでも良いのだと電灯の下で上手くくすむ古母
切れた人毛から吹き出す液体を照らす太陽は
常にアルコールでカラダを拭く母さんとヤクザとの間に混ざり合う煙に餌付く少女の
ポートレートに光る思い出の一切れの灯りにでも
なれていたら ショーケースの幽霊にはならなかったろう

濡れた太ももにすぐに挟んでもらいたい頭は呼吸を匂い
手首を手首ごと無くす痛みを忘れるだろう
もっと
もっと小さく
切り取られた思念はもっと
子宮の粘膜で泳ぐ言い訳になるだろうか
透明のビニール袋のみが
完全に生涯着込んでいい洋服にいたすルールで
デパートに行ったら誰がどれほどの言葉を
優しく話してくれるだろうか
紙コップに水を入れて飲むだけの日々に
放火魔の長谷川さんが気づいてくれないだろうか
命に美しい何かが灯るのなら
それは絶えず何かで覆わなければならぬのなら

私の皮膚を
灯して
証してくれないか
私は盛り場の暗闇で固まっているから
肉親の誰か母さんでもいい
私を見つけて
新しい人間を作ってくれないだろうかな
少女の笑顔灯す
光になれないだろうかな


自由詩 灯す Copyright 瓜田タカヤ 2007-05-29 02:51:31
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