少女の殺人
なかがわひろか

人を殺そうと思いました
私はまだとても幼いので
私が人を殺せば
とても大きなニュースになるでしょう

私は殺すための人のリストを作りました
私の周りにはいい人ばかりでしたので
それを作るのはとても骨が折れました

少しでも私を叱ったことのある人
一度でも私に向かって吠えた犬の飼い主
難しい問題を押し付ける先生
やっとの思いで私はリストを作成させました

人の殺し方は
毎日ニュースで見たり聞いたりしているのを参考に
何パターンが考えました
どれもすぐに成功しそうでした
誰も私が人を殺すなんて思っていないことでしょう
だから私はとてもやりやすいのです

リストの一番上から順番に殺していこうと思いました
私はいつもきっちりしているので
順番を守るのです
一番上のリストには
幼馴染でいつも私を苛めていた子を選びました

彼のお家へ行って
ピンポンとチャイムを鳴らすと
彼が出てきました
どうしたの?
そう聞かれて私は
あなたを殺しに来たの、と言いました

彼はとても驚きましたが
リストの一番上に自分の名前があったことに
少し嬉しそうでした

どんな風に僕を殺すの?
彼の質問に
私は台所から持ってきた包丁を見せて
これで心臓を刺そうと思っていると言いました

痛そうだね
彼は言います
痛いでしょうね
私は言います

痛いのは嫌いだよ
彼は言います
私は途方に暮れました

他のやり方はないの?と彼に聞かれて
今はこの方法しか用意していないと答えました
彼はとても迷いました
じゃあ仕方ないね
そう言って私の手を取り
包丁を心臓に突き刺しました

彼は顔を歪めました
とても痛そうです
痛い?と聞くと
ひりひりする、と言っていました

何分かすると
彼は青い顔になって
体温が冷たくなって
どうやら死んだようです

私は人を殺すのが
こんなに面倒くさくて大変だとは思いませんでした
まだまだ私のリストには
何十人もの人の名前が書かれています

私はもう既に疲れてしまいました
私は彼を横に並べて
彼の好きなヒーローのテレビを観ました

私は疲れてしまって
ぐっすりと眠りました

夢の中で
彼と私は
手をつないで
実は君のことがずっと好きだったんだ、と言われました

私はとても嬉しくて
殺してごめんね、と言いました

(「少女の殺人」)


自由詩 少女の殺人 Copyright なかがわひろか 2007-05-29 01:56:36
notebook Home 戻る