命の交換
なかがわひろか

あんたが生きたかった毎日を
死にたい死にたい言うて生きてる人もいて
そんな人と命の交換ができたら
どんなにええんやろうと思うよ

うちが生きることしかできひんなったんは
あんたが生きたかった日が、まだまだずっと続いているから
どんなに格好悪うとも
しがみついてでも、生きるしかなくなったんは
あんたがもうおらへんなったから

うちが生きる理由はな
それだけよ
苦しくても生きるしかのうなったんは
それだけが理由や

死にたい思てる人らから
命を買い上げて
あんたみたいな人に売ったら
ええ商売なるのにな

うちが名経営者やったら
そんなことしてあげられたかもしれへん

うちはあほやから
そんな商売すぐに思いつかへんかった

うちはな
あんたがおらん今日も
明日も明後日も

生きて生きて生きて
生きて生きて生きて

もうそれしかのうなったんよ

うちはあほやから
うちはあほやから

商売人には向いてへんから

(「命の交換」)


自由詩 命の交換 Copyright なかがわひろか 2007-05-28 17:14:03
notebook Home 戻る