愛する者達へ
はじめ

 星空を君と見たい
 月が嫌いだから月のない夜に
 空が澄んでいて雲が確実に動く
 魔法使いが箒に乗って空を過ぎりそうで
 冬だけどこのまま眠ってしまいそうで
 君が横にいることがとても幸せだ
 二人笑って そっと手を繋いで
本当にプラネタリウムみたいだね
 閉塞感が無いし人工的ないやらしさも無い
 あれは何かの星座かなと僕らは話し合う
 無限の時間を体感する
 透き通る宇宙
 僕が君と本当に見たかったもの
 無数の星
 こんな日の変わった真夜中に星空を見ているのは僕らだけだろう
 吐く息で宇宙が濁るのを見て笑いいつまでもいつまでも空を眺めている
 僕達は家に帰ることにする
 凍えきった体を君の拵えたシチューで暖める
 僕はフランスパンをナイフで切る
 空はさらに密度と星の煌めきを増す
 寝間着に着替えてもう寝る頃ね と君は優しく言う
 僕達は同じベッドで寝る ふかふかで君はじっと天井を向いている
 僕はどうしたの? と聞くと
 この上にあの空が広がっているのねと答えた
 僕は君の美しい瞳を見てキスがしたくなり 君にキスをした
 君は笑っておやすみ と答えて大きな目を瞑った
 僕は欠伸をして先程見た空を思い出して目を閉じた
 夢の中で君と離ればなれになった 僕は不安になり 君を探しに宙を泳いだ
 君は木の上にもたれ掛かっていた 僕は君に会うと 抱き締めキスをした
 意識が戻ると僕は涙を流していた 君に抱き付き 君にどうしたの? と宥められていた
 僕は君と離ればなれになった夢を見たんだよ と言った 君は笑って大丈夫よ と僕の頭を撫でた
 僕はふいに物凄く不安になり君にずっと抱擁してもらっていた
 気が付くと窓から眩しい光が射し込んでいた
 あの星達は今も空の上で眩く輝いているのだろう


自由詩 愛する者達へ Copyright はじめ 2007-05-28 04:03:32
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