愛の夢
塔野夏子


   
inspired by「metropolis」L'Arc-en-Ciel



数か月前から僕は
あるアンドロイドと暮らしている
名前はれい
零は性を持たないが
ほの青く光る金属で出来ていてとても美しい
僕は絵を描くので
恰好のモデルとして零をそばに置くことにしたのだ

そして暮らしはじめてわかったのだが
零はピアノを弾くのが好きで
それがまた何とも云えず上手い
零は気の向くまま好きなときに
出かけたり帰ってきたりするが
家にいる時間の半分かそれ以上は
ピアノに向かっている感じだ

自然 僕の描く絵も
ピアノを弾いている零の姿が多くなる

そして零は最近
性を持たないままに
どこかで恋をしているらしい
何故なら僕のキャンバスに描き出される零は
このところ以前にはなかった
不思議ななまめかしさを帯びはじめたのだ

そういえば以前零に尋ねた
一番好きなピアノ曲は何だ と
零はためらいがちに答えた
リストの「愛の夢 第三番」 と





自由詩 愛の夢 Copyright 塔野夏子 2007-05-27 11:21:10
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