ひるさがりの夏
船田 仰
やけに小さいピンクの空は
僕がみつめても赤面しないで
御所が影に耐えているときに
向こうの空は水色だったし
きらきらの自転車に乗って段差に耐える人々
のっぽさんのビルばっかりが
そればっかり映える
まだこの街でじっとしているようです
ピンクと水色の相似
暑い暗がりをぬけて
歩道でかんがえるべきこと
靴音と針の進み具合
ひとにだいすきだと言ってはじめて
ほんとだと思うので
少しだけ時計がほしいとおもって
ぼくがおちてゆく
葉っぱもおちてゆく
ひるさがり
影から透かしてみえた空に
赤をねだってみても
今はそのときじゃなくってね
僕は砂利道のうえ
水色っぽい暑さに耐えてみる
そしてぼんやりと嗅いだりもする
つぎの季節からのお便りの
その
断片の予感みたいなものを
きみも嗅いだかもしれない
そんなありきたりな色でしかないのを
ぼくは嗅いだ