ひるさがりの夏
船田 仰

やけに小さいピンクの空は
僕がみつめても赤面しないで
御所が影に耐えているときに
向こうの空は水色だったし
きらきらの自転車に乗って段差に耐える人々
のっぽさんのビルばっかりが
そればっかり映える
まだこの街でじっとしているようです
ピンクと水色の相似

暑い暗がりをぬけて
歩道でかんがえるべきこと
靴音と針の進み具合
ひとにだいすきだと言ってはじめて
ほんとだと思うので
少しだけ時計がほしいとおもって
ぼくがおちてゆく
葉っぱもおちてゆく
ひるさがり

影から透かしてみえた空に
赤をねだってみても
今はそのときじゃなくってね
僕は砂利道のうえ
水色っぽい暑さに耐えてみる
そしてぼんやりと嗅いだりもする
つぎの季節からのお便りの
その
断片の予感みたいなものを
きみも嗅いだかもしれない
そんなありきたりな色でしかないのを
ぼくは嗅いだ



自由詩 ひるさがりの夏 Copyright 船田 仰 2004-05-08 17:56:39
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