要冷凍
nm6

まろんまろんな、かなしみだ。貧血でクラリとするときのあたまのイメージは、からっぽでしょう。カウンターパンチで、どう?投げて様子見、投げて様子見で、過ぎていくは時計の針、折り折りだよ。四角いだけのビートはいい加減にうんざりで、ぼくは劇場の空中に浮いている造花を眺めていたい。打算的な、プレパラートの上のそんな気持ちを。


冷蔵庫のドアは、内側からは開けられない。
高円寺とは言うものの、地名の由来をよく知らない。


さぶらさぶらな、うれしさだ。伸ばした手を強く揺るがして歩く、つい振り切れてしまうしびれを。カウンターパンチで、どう?傷口にも宝物にもなるフォローを、わざと吸い込んで酔うフラフラだよ。気持ちよさだけに敏感で先には蓋をして、ぼくは走り抜ける過程に浮いている造花を眺めていたい。官能的な、オブラートで飲み込むそんな気持ちを。


もう少し。あと少し。
夕暮れには、OSを入れ替える時間がやってくる。
さぶらさぶらなオレンジに、まろんまろんなネイビーが溶けてゆくよ。


電車に乗った瞬間に、そこにいるすべての人の顔を見渡してみよう。ひょっとするとそれは、ひどくロマンティックな試みだ。見つけることは全てことばに昇華されて、彼について知る、いくつかのことがらを。椅子に座るぼくが、両端の人にはさまれているという事実。オセロのようにひっくり返って、現在位置を確認する狂おしい毎日です。些細なファンタジーが積み重なって、ばからしく溶けてゆく前に。ぼくらのカウンターパンチは、まったくもって笑ってしまうんだ。


フリーズ。フリーズ。
繰り返すぼくらは、ここぞと停止だ。
すべては皮膚で、凍らせておくべきなのは他でもない。
バランスを三角に崩して咳込んでやってくる焦燥を、
畳み掛ける甘ったれた暗さを、とりあえず全てほうり入れてしまおう。


自由詩 要冷凍 Copyright nm6 2004-05-08 00:49:27
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