降り来る言葉 XXX
木立 悟




触れようとすると
指は変わる

漏れ聴く 光


見ているものは
既に違う

遅い 光


雨のはじまりを鳴く鳥に
枝はまぶしく満ちてゆく
羽と幹と音のはざまに
空は蒼く満ちてゆく


腕が腕を抱き
肩を抱き
指先ひとつの痛みへと
己れを抱くようにたどりつく


光を吐くもの
葉の光を吐くもの
血に導かれ
線の 波の 血に導かれ


落ちる前にとどろいて
飛沫は四つの空を貫く
痛みなく光なく焼けてゆく
どこまでも幼い火のかたち


横から横へ 宙から宙へ
夜の苦みと苦しみは降る
夜明けの水に浮かぶ諧謔
直ぐのものを嘲笑う


よろこびはいとも簡単に
よろこび知らぬものをあざむいて
昼は明るく水を埋め
午後の手のひらを見えにくくする


花が咲き 花が散り
葉という名の花が咲き
次々と次々と空に触れ
遅い鼓動を聴いている


風と揺れ 風はらみ
風を産む
土に横たわる水たまり
新たな火の輪の息をはじめる
















自由詩 降り来る言葉 XXX Copyright 木立 悟 2007-05-21 10:06:54
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