みずたまり
木立 悟




空わたり沈むまなざしみずたまり



二季またぎそよぐ野の墓みずたまり



何も得ず何も見ず居るみずたまり



輪をかずめぐる生の輪みずたまり



うろこ着て鱗脱ぐ夢みずたまり



星ひとつ星雲となるみずたまり



夜うがつ涙のかたちみずたまり



気に入らぬ鏡捨つるやみずたまり



どこまでも捨て主映すみずたまり



ただひとり哭く声を聴くみずたまり



己れ刺す刃のごときみずたまり



爪をたて朝のぼりゆくみずたまり



悦びにせなを割る羽みずたまり



空を喰み空の色になるみずたまり



知りながら応え返さぬみずたまり



あなたまで遠すぎる道みずたまり



まぼろしとたましいの姫みずたまり











俳句 みずたまり Copyright 木立 悟 2007-05-20 21:15:39
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