詩人
おるふぇ

詩を殺すのはいつも詩人で
詩を愛するのはいつも他人で
涙を流すのはいつも美人で
笑顔を殺すのはいつも愚人で
君はいつのまにか大きくなって
僕の目の前を通り過ぎていった
大人になる怖さからナイフを持って
詠う強さを忘れていった

言葉が生まれる前からもう詩はあって
言葉になる前にもう詩はあって
そういう世界に生まれたから
君をどう愛せばいいか解らない
もしも命が駆け巡るなら
君に似合う花を探して
毎晩 玄関の前にそっと
置いて去ったら君は
その花を枯らさず
育ててくれるかな

人を殺すのはいつも人で
人を愛するのもいつも人で
そういう時代に生まれたから
君にどう伝えればいいか解らない
四丁目で未成年による殺人事件があって
メディアは大々的に報道して
あらゆる観点から問題点を指摘していても
もう次のニュースがそれを流して
忘れて残るのは遺族の傷痕だけ

無二の愛を
無償の施しを
僕は受け取り誰にも返せない
無二の命を
無償の営みを
気が付いた時にはもうそこにあって
坑いながら返していくよ

転がり落ちていく無防備さに惑い
無為なる時間は流れてしまう
上手な時間の重ね方を
君のように上手く愛せずにいるみたいだ

詩人が詩を殺していく
大量の言葉を用いて
生前の夢や
死後の思い出を
パッケージングして
ラッピングして型どっていく
それを見て見ない振りをする僕は
どうやら優しさを模して
それらしき言葉の廃坑で
愛の真似事をして
ただ ただ 花を探す




自由詩 詩人 Copyright おるふぇ 2007-05-20 14:07:15
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