名残り雪
朝原 凪人


おそいおそい冬の訪れ
あるいはそれは
いつの間にか駆けて行った冬の残り香

遅咲きの梅花
早咲きの桜花
世界の色は鮮やかに
春待ち人の思いは賑やかに

そこに舞い散る
鈍色の穹を映せし
小さき花はしめやかに
喪服を纏った参列者

歩みを止めぬ旅人に
送りし言葉は
感謝か弔詞か

巡り廻る旅人よ
かえる場所は
確かにあると

掌に消える花
ポケットに仕舞う



自由詩 名残り雪 Copyright 朝原 凪人 2007-05-20 12:58:00
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