単純な直線
カンチェルスキス








 その手が欲しかった
 その手を手に入れて
 その手の中に私の手を入れて
 その手が欲しかった
 何ができただろう
 その手で溶けるを実感し
 時計の流れるを卓越し
 この世界の両端を消して
 再び戻ってくる
 激昂すら含めて
 私の手をその手の中に入れる
 元の形を思い出せなくなるまで
 私の手をその手の中に入れる
 往来の鼠を踏み潰す足音
 私はその手が欲しかった
 歴史を貫く
 一本の単純な直線だった
  

 






自由詩 単純な直線 Copyright カンチェルスキス 2004-05-07 15:18:58
notebook Home 戻る