空中楼閣
tomtom_poem

風吹きすさぶ
いちめんたんぼ
古代からつづく広い空
一匹の虫は泳いでいる

とつぜんに
ふしぜんに
屹立し現れる
高層ビルの群れ

一匹の生物すら寄せつけぬ
冷たい石でかためられた場所
孤高の崖
明るく暗い夜

谷間を吹く風は
縦に凍りつき
人の心を閉じこめる
うずめる

ほんとうは
見えないだけなのだ
地平に根をおろしているのに
さえぎるものがある

空中に
不安定に
浮かんでいる
ように見える

その見えない部分は
積み木くずしのように
切りとられ
堅牢な疲労

ああ
なぜあの子は
飛んだのか
泳ぐことを選んだのか


自由詩 空中楼閣 Copyright tomtom_poem 2007-05-18 22:53:50
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