世田谷線
tomtom_poem

下高井戸駅で
ドアが開き
一斉に
すわる人
みわたすと
ひとり用の椅子ばっか
顔はみな
一様に
そしらぬふり
うつ向きかげん
がまんされたくすくす笑い
わざと行儀よく
おしゃれに
しかも同じ向き

私に残された
はしっこの椅子だけ
反対向き
かならず誰かと
向かい合い
つまり
私の前に
すわった彼女
ひとりだけこちら向き
私と彼女と
等間隔の椅子と椅子とは
ひざが着くぐらい
だから
私とあなたは
鼻ふれあい
唇は空気にふれ
目線がショート
これから青や黄や赤の
スタイリッシュ・ボディ
二両編成・世田谷線は
ごとんごとん
不器用に音をたてて
駅を出る


自由詩 世田谷線 Copyright tomtom_poem 2007-05-18 00:24:27
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