老残の歌(十)
信天翁

  おらが生来から背負っている
    汚血の伝統とはちがって
  みどりの血をたぎらせている
   瑞々しい早苗月の樹木たち
 その生態に焦点をあわせようと
    気づいたのは やっぱり
      齢のせいなのだろう

プロムナードのはずれにひろがる
 羊田にはもう農業用水が注がれ
  田植えの準備が始まっている
そして はるか地平の高圧線では
  ときいろの火花が散っていた
 みどりに染まった丘にむかって


自由詩 老残の歌(十) Copyright 信天翁 2007-05-17 20:49:48
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