鼓動
麻生ゆり

どきん どくん
私の傲慢な心臓がこだまする

どきん どくん
なんてわがままなのだろうか!

どきん どくん
まるで反抗声明だ

どきん どくん
しかしあるいは自慰行為の後のようでもある

どきん どくん
が どこかしら死の香りすらもする

どきん どくん
助けが欲しいのかそうではないのか

どきん どくん
もしくは心と同化しているのか

どきん どくん
心臓は固まり続ける

どきん どくん
草も小鳥も寝床につく

どきん どくん
轟く滝の音でさえも

どきん どくん
だけれどケータイの音で黄泉がえる

どきん どくん
これは慢性的な病

どきん どくん
さぞかし許しがたい行為なのだろう

どきん どくん
ある日この世を支える電信柱が倒れた

どきん どくん
さあ 自衛隊の活躍だあ!

どきん どくん
皆さん張りきってゆこう

どきん どくん
私の命数を肴にして

どきん どくん
今日は精一杯飲もうじゃないか!

どきん どくん
愛なんて捨ててしまおうゼ

どきん どくん
たとえそれが虚実だとしても

どきん どくん
私の心臓は

どきん どくん
傲慢にも

どきん どくん
鳴り続けている

ぴーーーー。


自由詩 鼓動 Copyright 麻生ゆり 2007-05-17 20:12:11
notebook Home 戻る