残映
ロカニクス

ずっと
船に乗ってた
訳も分からず
切符を持っていたものだから

夜空が美しい
けれど夜が汚い
信じていた
その濃色を

波が輝いている
チェロの音色が聞こえてくる
離さない
そう叫んだときを思い出した

窓が割れた
鯱が入ってきた
よく見ると背中に
花が咲いていた
白い花だった

そういえば
月も白かった
切符を拾った日から
月が見えなくなった

そういえば
なかなかに何も知らなかった
月の白さしか知らなかった

それでもう鯱と泳いだ
血も涙も切符もなくても
月がまだあると感じたから





自由詩 残映 Copyright ロカニクス 2007-05-14 22:52:19
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