麻雀
Tsu-Yo
なぜそこに居るのか分からなかった
気が合う仲間たちから離れて
早く一人になりたかった
そう思えば思うほど
一人になることが怖かった
通いなれた八王子の雀荘に
喪服姿の若者が四人
「最低だな」と
みんな心の中では思っていただろう
本当に最低だったのだ
それは葬式の帰りに
麻雀をしていることがではなく
友人が自ら命を絶つまで
俺たちの誰ひとり
その痛みに気が付かなかったことが、だ
脂や手垢のこびり付いた雀卓の上で
麻雀牌が何度も何度も倒され
その度に俺たちの立場は変わっていった
運が良い、とか
運が悪い、とか
そんなものでは片づけられない何かが
そこには確かに在るような気がした