マミー、マミー
美砂
眠る前、羽みたいな手がおりてくると
ぼくはそれだけでなにもかも忘れてしまう
今日はきてくれるかな
階段のしたから、食器を片づける音がきこえてくる
きてくれるかどうかは わからない
機嫌がよければいいけれど
疲れていたらだめだ
夜は寒い でも寒いって感じているうちは
まだ大丈夫
きてほしい、って一番思うとき、
淋しくて大声をあげそうになるとき、
眠気がすぐそばにあるんだ
ぼくはまだそれに負けたくない
だってそのあたたかさにのみこまれたら
あのやさしさにふれられないまま
今日が終わってしまうから