ひとつ まばゆく
木立 悟
曇を知らずに
ついばむかたち
花のかたち
あこがれ
うしろめたさ
午後の砂の輪
置き去られた目の幾つかが
むずがゆくからだにひらいても
窓を見つめることができない
奏でることなく奏でられ
ひとしずくになる
ひとしずく
ほどけるものをかき分けながら
すぎていくこと
満ちていくこと
月の胸に
頬をあてた記憶
入江をゆく
艀
(
はしけ
)
の明るさ
花の蛾
灯と屋根の鳥
三色のまばたき
はらわた 沈む陽
木の傷のつらなり
水の底の閉じた目
雨の光で動く玩具
失くした名を
描
(
か
)
く
訪れを
描
(
か
)
く
自由詩
ひとつ まばゆく
Copyright
木立 悟
2007-05-13 03:00:13
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