欲情の温もりと優しい光 傷が癒える夜の幸せな雨/八十作品
板谷みきょう

結び合う空 秋茜 絡まり揺れる 願い握るる細き指に
噛み合わないまま 言葉喪い アイスコーヒー
みなもに写る外灯の 白き光偶然 漂い
まっしぐらな紫煙の さざめく溜息をえらびながら
ちょっと切ない人生に 辛く哀しく困って迷う
月を見て 星を見て ひとり誓うよ 夢の中
儚く褪せた夢 染み渡り 溜め息ひとつ
逢いたくて唇 指先で触れた秘密
ポプラの樹木 祭囃子に葉が揺れる
夕暮れに きりぎりす鳴く 叢の夢と幻  
       ☆**☆**☆
カラオケ得意じゃない でも期待に膨らむ幸せ
逢魔が刻に 哮ゆる獣の冷や汗の
ひとりぼっちになる必要なんて なんにもないんだょ
縦横無尽に駆け抜ける 風に怯えて葉のすれる
乾いてしまう水溜り つぃつぃと蜻蛉が水面つつく
空から星を拾い集めて 暗闇に想う君のくちびる
もう 充分じゃないのかなぁ ボクの心も…
「いなければ、生きていられない。」ぎりぎりにいつも呟く
何一つ終わっちゃいない 届かなくても 伝えたい
改行しなければ 永遠の無限 一行にあなたを
       ☆**☆**☆
ひっそりと風の音聞く 秋茜
少年のようにはもう語れない 愚かに 躊躇う
ぎこちなくゆっくり 呟きが月の底に沁み堕つ
くたくたの体 持て余し 涼むファミレス
星を見て 月を見て 夢の中で ひとり誓うよ
ごめん。難しいね。男と女。
数え切れない程 想いを抱え 忘れゆく
九月の雨の浜辺に秘めたセンチメンタル
温もりが恋しい 憂鬱を持て余して一人ぼっち
星の瞬く空の下 泣きながら願う妄想の遺書
       ☆**☆**☆
きつく抱き合って匂いを交ぜ合い 溶けてしまいたい
冷たいベットに潜り込み 心と体を繋ぐ糸をするりと引っ張る
一行で 語り尽くせない想いの手紙
吹きすさぶ冷たい風の中 愛しい声を聞くために 瞳を閉じて
あまずっぱい想いに飢えて なんとなくほんのりと
肩を誰かが叩く。振り向いたそこには、誰もいない。
悠久の彼方に届く モザイクの浪漫求めて
この雪の向こうにある希望 追える力を求めて
そっと羊達が壊さないように夢を運んでいく
音もない羊水の記憶 街の音に隠れし頭上で うなされる月
       ☆**☆**☆
陽光が眩し過ぎて 曖昧に見ゆ 白い雲 蒼い空
天使の瞳に映るのは 魂からの祈りに満ちた欲望の叫び
かなしみを孕んだ夜空に 凍え震えるこころの流るる
見え隠れする満月の白 吐息の白さに揺れて凍える
終りなき吹雪の嵐 背中の寒い夜に 柔肌求め
語り尽くせぬ切ない想い そこにあるのは一つの望み
眠れない夜に辿り着いた公園の 雪に埋もれて
孤高に立つ潔さを求める苦悩 山頭火よ 放哉よ
掌に蘇えらせる 瞳を閉じて恍惚に 浸るあなたの温もりを
寂しいんじゃないの 欲情の温もり想う
       ☆**☆**☆
縦横無尽に駆け抜ける 風に怯えて葉のすれる
つぃつぃと蜻蛉が水面つく 乾いてしまう水溜り
みなもに漂い写る外灯の 白き光の偶然に
空から星を拾い集め 暗闇に想う君のくちびる
土くれに宿る息吹深く 魚になって繋がり往く
海のように見える空の彼方に 海のない土地
偽りの糸 解いて結んで 赤く染まる嘘
おずおずと夢を届けて 知る由のない夜に蠢く
街の音に隠れし 頭上のうなされる橙色の月よ
満月の感触 優しい光に 背を向けし独り
       ☆**☆**☆
想い出だけはキラめいて 自分らしい『桜梅桃李』
打ちひしがれたときの 中島みゆき
燃えて弾けて きっと何も無くなっていく夕焼け
静かに 傷が癒える夜を待ちたい
窓から見えてるかな?満ち始めてる橙の半月
腕の中でスースー眠る 君がいたらいいのに
明日の朝 起きれるだろうか 夜更け
忘れることは出来ないから 空を仰いで寂しい月を探す
KEY…君のココロとからだの扉開く…KEY
落ち葉の舞う秋風の 「許してね…ただ 許してね。」
       ☆**☆**☆
しっとりと 唇のなめらかに 柔らかさ味わう
二人きり ねえ。どこまでも一緒に行こう
いちばん幸福なひとのために よだかは鳴きましょう
誰でも良い訳ぢゃなく 叶わぬことと諦めながら 逢いたくて雪虫
同じ想いばかり駆け巡って 遠いあの人を思い出す
幸せな雨 雲と交わした 約束を待って
寒さが身に沁む 睡眠不足の留まるる朝
日の射す窓辺に 麦藁とんぼ 空に輝く
光の中で溶ける 白く雪が舞い降りる前に
眠れないのか眠らないのか 螺子巻き残りオルゴールの音



自由詩 欲情の温もりと優しい光 傷が癒える夜の幸せな雨/八十作品 Copyright 板谷みきょう 2007-05-12 01:42:56
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