創書日和「風」
イズミナツキ
木々は揺れてざわめき
雲は流れて、太陽が見え隠れしていた
放り投げたボールは
狙った所とは全く違った方向へ飛んで行った
花びらが舞い散り
砂っぽい空気で汚れていた
鳥はどうだろう
僕の心をかき乱して
君を見失ってしまう風を
その両翼で切り、飛んでいるのだろうか
その両翼で空を拓き、飛んでいるのだろうか
風を掴めるなら
風に乗れるなら
明日という日は憂鬱でしかないだろう
昨日は闇に閉ざされていて
今日は居心地が悪かった
教室の窓はがたがたと音を立て
カーテンは何度も翻った
声はかき消されて
見上げれば
雨が降りそうな灰色の雲が流れていた
届けたい心は
想った所とは全く違った方向へ飛んで行った
花びらが舞い散り
そして僕の心は
砂っぽい空気でざらついて、乾いていた
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創書日和、過去。