午後の声
木立 悟




曲がり角ごとに鳥はいて
夜を夜をとまたたいている
青紫の窓がふたつ
甘い手管にひらかれてゆく


うすぐもり
なりひびき
皆なにかを
抱きしめるかたち


昇るもの 降りるもの
すれちがうことで生まれる時が
傾く器 流れる水の音を経て
樹と涙のはざまに漂っている


昼に息を潜めたものが
午後に鼓動を空へ差し出し
ふくらみかけた低音の
そのままを鳴らしてまわりはじめる


景と音は
離れながら降りてくる
互いを追う声 もとめる声が
細い螺旋の雨になる


ひとつ震え
ひとつ染まり
曇と夜は近くなる
鏡のように見つめあう


土に落ちた花びらの
笑みを受けとめる光へと
雨になれない声たちが
雨のなかを降りてゆく















自由詩 午後の声 Copyright 木立 悟 2007-05-10 17:38:16
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