細胞
ふるる

風景の細胞を
ピンセットでつまんでいく
ひとつずつ

はつかねずみの
白さの雲
実験された
はつかねずみの

電動ではない
ツバメ
電動ではないのに
背中にスイッチ
オン/オフ
オン/オフ

ある晴れた日曜日
フライパンで焦がしました
太陽
じゅーじゅーじゅー
甘くとろける

山々の稜線は
ぺたんこ
ぺったんこ

上の方は
広々としている
広々としていない
大変に狭いです
箱の隅っこの隅っこの隅っこの隅っこ

ホルマリン漬けのダム
放水開始
漬けられたものみな
流れ出す

さぶん さぶん

月は半熟のまま昇りかけ
パンツはどこだろうと探している

試験管のようなビル
様々な液体
混ぜ合わされ
化学反応が大人しく

・・・・・・

湖面に
プレパラートのように氷が張り
顕微鏡で覗いたら
ダムより流れ着いた
漬けられたものみな
こちらを向き
眼球のない顔、顔、顔、、、

月はパンツを探し当てたので
にょっきり昇ってきた

春のラインを引いたら来るでしょうか
スタートラインを引いたら

うぐいす
ホーホケキョ、ケキョ、ケキョ、ケ、

びっくりしたように黙ってしまった

風景の細胞は
眼球の形をして

                    こちらを


自由詩 細胞 Copyright ふるる 2007-05-09 22:52:26
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