道順
たもつ

帽子の話はひととおり終わり
白い塀が先の方まで続いています
突き当たりの干物工場を右に
道順を教えてくれる指先は節くれだっていて
足元には重いものに潰されたような
カマキリの一部が残っていました
今年は貝毒が心配で、と
それはとても大事なことのようでした
路線バスが夏服の学生を数名乗せ
反対の方向へと走っていくのが
ここからも見えます
右耳から耳鳴りがこぼれそうなので
手で押さえたかったのですが
荷物を落とさないように
それだけで精一杯の気がしていました


自由詩 道順 Copyright たもつ 2007-05-09 14:27:06
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