訃報
たにがわR

いずれにせよ桜は散っていく

まるで、まわりくどい恋文のように
あなたと僕の間を、めぐっていた感情は
不意に来たあなたの訃報でかたちとなって
ただ、ひたすらに他人でありつづけた奇跡を頷かせた

新宿では雨が降っている

もう少し季節が過ぎるとやまない雨もあるのだが
今日の雨は明日にはやんでしまうだろう

時に花びらが
雨の重さに耐えきれなくて落ちるように
思いのたけをはせるほどに
降りしきった雨の後には
なにがしらかの悲しみが置かれている

散っていくのも桜なら
散らずに残ってしまうのも桜には違いない

散っていく桜の悲しみに耐えられなくて
そして、あなたへの思いにおしつぶされて
前を見ず、ひたすらに下を見ながら
がむしゃらに生きるよりは

道端の石に、すわったり、たったりして
少しひとやすみをしながら
時には、空を見上げて、緑とかわった桜を見るよ

あなたが好きでした

立夏、暑さなどはまだ感じない


自由詩 訃報 Copyright たにがわR 2007-05-09 12:27:56
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