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たもつ

小さな馬が一頭草を食んでる
いただきます、も
ごちそうさま、も
一生分言ったのに
まだ何も言い尽くしていない

クイーンズタウンの山の上にある
レストランで食事をした後
近くの牧場で馬を見ながら
悲しませない、と約束した
その約束は何度か守られ
残りは守られなかったか
あるいはどちらでもなかった

愛してる
求められているのはその単純な言葉の響き
小難しい理屈や後付の定義ではなく
それこそ世界の中心で叫ぶような
愛、を決して超えない

もうあきらめたよ、と
二人で皿の上の馬を見ていた
馬しか見てなかった
あの日も今も
そして馬はいつも
イメージでしかなかった
 


自由詩 イメージ Copyright たもつ 2007-05-08 21:23:54
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