旅(十)
信天翁

うすあかりの気配がする
長いトンネルの出口
機関車の先方に見え隠れするものが---
それは・・・
夜明けの白い漁り火なのだろうか
  落日の赤いかがり火なのだろうか
    真夜中の青い鬼火なのだろうか
それとも 実態は
車窓のガラスに写る
皺だらけのトルソなのだろうか
錆びついたミラージュなのだろうか
ひょっとして
凝視したら忽ち消えてしまう
星屑なのかも知れない
それは・・・



自由詩 旅(十) Copyright 信天翁 2007-05-06 18:59:13
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