夜へむかう
木立 悟



暗がりのなか 痛みを見つめる
舐めとるように
呑みこむように


ひとつの静寂と
ふたつの静寂を
片目は聴く


雨が近づいてくる
羽をひろげ阻む
丘に棲むけだもの


空をめぐる
ひとつの水
地をゆくものを 押しはじめる


照り返す光
照り返す声
からだは 土へ傾く


屋根をすぎるものが
残す足跡
かがやき 消えてゆく


熱は流れ 川へ落ちる
暗がりを描く霧
暗がりに映る


とどまるようでとどまらない
じりじりとつづく線
煙のなかの 夜へむかう










自由詩 夜へむかう Copyright 木立 悟 2007-05-04 20:03:14
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