イメージと空白
村木正成

開け放たれた窓から
夜風がカーテンを揺らし
月の光がこぼれだす

少女の眠れぬ夜はするどく
闇の中へと切りこんでいく

少女がひとさし指で
空をなぞるように
星の数をかぞえている

夜露は空にひたと落ち
つぎつぎに波紋を拡げてゆく

夜風が星の輝きをまとって
麦畑のなかを通り抜けると
麦畑は黄金に輝く

案山子が銀河の彼方にある
自分の居場所を探している

眠りについた少女の夢は
月の裏側に漂流し
そこに世界を作ってゆく

いくつもの想いは螺旋状に
夜空を駈け上がってゆく

月の光に照らされて
湖のうえにかかる霧は
やがてすべてを隠してゆく

眠る少女の黒髪は
風になびき夜空と絡まる


自由詩 イメージと空白 Copyright 村木正成 2007-05-03 09:21:51
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