反作用の風に吹かれて
まほし

はじめは、見えなかった。


 それはファインダーの外に
 つまさきの下に
 暗がりのなか
 輪郭さえ
 ないところにあった


それから、見ないようにした。


 それは地平線の果て
 視界の影から
 シトラスの銃口をかたむけるので、
 ファインダーを閉じて
 走り出した

  
それはきっと
わたしがボロボロのジーンズを履いていることを
白日にさらしてしまう。
カメラをポケットに忍ばせているわりには
ほとばしる光を捕まえられないことを
夜明けの空にさらけだしてしまう。


 みじめさを
 にぎりしめて
 ふみしめては
 さらにみじめになって


それでも
まぶたを閉じればとじるほど
からだの芯から情景が燃えあがる。
背中を向ければむけるほど
逃げ道は順光に照らされる。
上昇する熱に押されて
どこまでもどこまでも転がっていける。


(沸騰した想いが
(吹き零れるように


走り出した先に、光も環ろうとしている――






未詩・独白 反作用の風に吹かれて Copyright まほし 2007-05-03 06:38:46
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