「 降車ボタン 」 
服部 剛

通勤バスの車内 
後部座席から眺める 
まばらな人々が
眠たげな朝 

( 昨晩わたしは、とがった爪を、切っていた。) 

人さし指をのばし 
四角いボタンを押す 

「とまります」 
黒字で書かれた 
赤いランプがともる 

それは「今日を生きる」  
という一つの選択 

( 昨晩わたしは、尖った爪を、切っていた。) 

人のこころの曇り空に 
おぼろな日輪があふれるよう  
わたしは今日もあなたへと 
人さし指を 
まっすぐのばす 





自由詩 「 降車ボタン 」  Copyright 服部 剛 2007-05-02 20:55:59
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