寝たきりの言葉。
atsuchan69

もうすぐ、生暖かい夜が
苦いクスリとともに
グラスに注いだ水と一緒に
――やって来るョ。

窓の外は今しも
オレンジの火炎に包まれ、
妖しい空へと
黒煙を立ちのぼらせては

昨日までの世界、
無邪気で陽気な世界が
またひとつ消える。

交差する暗い時代、
矢継ぎばやに黙示録の騎士たちが
大地を幻のように翔けてゆく

 大丈夫さ。

君はどうせ寝たきりだし
僕なら日々はたらいて糧を得る
断じて、言葉などには惑わされないから。
苦し紛れに、詩のひとつでも吟じてくれ
けして涙など流したりはしないけれど

 二号棟では、
髪のない女が春の歓びをうたい、
――それは酷くウザイ」
と、君も云う。

薄桃色の制服を着た
恐ろしく華奢でエロい看護婦が、
もちろん胸元の肌も露わに
君のベッドを訪れる

感じない筈はないだろ
 アレが欲しいんだ

熱なんか、測らなくても良いからさ
きっと硬直した患部を
 ――ちょっと、
診てもらえばすぐ楽になるよ

 ふふーん、寝たきりの君が
詩人だというのかい?
 じゃあ、僕は
君の代わりにメギドへ行こう

看護婦さんとは、
せいぜい愉しんでくれ

馬のくつわに届くほど血の流れる丘へ
 これから僕は、
行かなきゃならないんだぜ、
寝たきりの君を生かすために・・・・
受肉した言葉たちを殺すためにね。

たぶん、詩人ごときには解るまい、
あまりにもリアルすぎる生と死。

 痛みと空しさを――

大いなる殺戮の後に来たる、心の憂い
 その、あまりにも深遠な夜を。












自由詩 寝たきりの言葉。 Copyright atsuchan69 2007-04-30 22:35:46
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