はじめての
優羽

家出をしようと思った
理由なんて適当だ
ただやってみたかったんだ

とりあえず思い切り外へ飛び出した
母さんが追いかけてきて
財布だけ取り上げられた

仕方がないからひたすら歩く
とにかく遠くへ行きたいんだ
目的地は今決めた
冬の海を見に行こう

家は山のふもとだし
さすがにこの距離は遠かった
川に流れたほうがはやかったんじゃないか
なんてことを考えていたら
見えた「海岸通り」の看板

もう限界だと思っていたのに
一目散に走り出した
地面の感触が変わった
足が沈む
間違いなく砂浜だ

でも海は暗くてもう見えなかった
しばらく海のほうを見て
達成感に浸っていたら
携帯電話が鳴った
父さんだ
迎えに行くから場所を言えとのこと
ひとこと「海」といった


自由詩 はじめての Copyright 優羽 2007-04-26 00:37:23
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