疾走
山中 烏流

雨玉が
降り続く広野を
私は優雅に
疾走している
 
限り無く視界は閉ざされ
何も見えていない
いないのに
私は
限り無く優雅に
疾走している
 
 
後ろには
顔見知りが二人ほど
いるが、いたが
気にしなくてもいいだろう
さして変わらない
何も変わらない
 
私が先へと進むのに
何の
影響も、ない
 
 
雨で
濡れてしまうから
傘をさした、ところで
 
疾走しているのだから
意味が無いことに
気付く
 
 
気付いて
不法投棄、
 
 
後ろにいた
二人の顔の記憶も
要らないので
 
不法投棄、
 
 
そうして
目的地に着いたところで
 
何も、残らないのは
 
知っていた
癖に
 
 
それでも
私は優雅に
 
今、を
疾走
している。


自由詩 疾走 Copyright 山中 烏流 2007-04-25 07:44:06
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