わたしのやさしいひとたち
うめバア

あの日
誰もがわたしに
優しくしてくれた
あたたかい言葉を投げかけてくれた
よかったね、と
言ってくれた
わたしだけはどの人とも
いがみ合わずに
誰にも
嫉妬されずに
いつも、いつも
柔らかに扱われた

それはわたしが、
いちばん、太っていたから

わたしのために
気に触ることばをつかうまいと
遠回りの会話をするひとたち

わたしがゴールしたとき
みんなが拍手をしてくれた
よくがんばったね、と
褒めてくれた
それはわたしが
いちばん、ビリだったから

わたしのために
いつも、いちばん最後を
開けてくれるひとたち
とてもやわらかな
上品な
中ぐらいの
グループ

やさしくて、
フツウで
何の問題もおこさない
よく似たひとたち

わたしが美しくなりはじめるころ
あのひとたちは困惑する
いちばん最後を開けておいたのに
どうして?
と困惑する

わたしが見知らぬ輝きを身にまとうころ
あのひとたちの視線には
覆いがかかる
暗い瞳には
不満の色がたたえられている

つめたくて
いじわるな
やさしくて
よく似た
ひとたち
わたしの
やさしいひとたち


自由詩 わたしのやさしいひとたち Copyright うめバア 2004-05-02 01:35:27
notebook Home