うた
チグトセ




ただ、空ばかりが暗い

照明ばかりが明るい

そこだけ白くて

他は黒い



朝、目を覚ますたびに泣いた、と君は言った
僕はその言葉を重んじてうなずいた



ベンチにはゴミが溜まっていて

僕たちは座るのを避けた

閑散とした駅前広場は

どこか威圧的な匂い



海岸公園へとくだった
静かな風を浴びて
君は落ち着いた



静かな

うたをうたう

君の声の調子に合わせて

同じ旋律で

同じ抑揚で

同じメロディーで




不安から、覗きこんだ哀しみの中身
そこには君がうずくまっていた




また続きをうたいながら

せめて

君のあったかな日溜まりに

メロディーが流れていればいいのにと思い





うたをうたう






自由詩 うた Copyright チグトセ 2007-04-24 02:16:11
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