ゆめのようなもの
キメラ

朱銀のスプレーを吹きかけ
月が街灯に拡散し立ち昇る黄蝶の渦巻き
肌寒いモノクロリボンを路地裏に解き放したまま
退廃のエアープレインが
氷雨玉の群れを爆撃してる

なみき通り
倒錯したガーネットは燃ゆる
真赤を結晶し小さな蠍の点滅
トラック達は月の夜にねむり
痩せこけたリオの砂丘に錬金のパイを夢みてる

きらきら
真空のガシェット
あの美しきビー球の錯乱
光沢廃材の尖ったあなにも蛍光した
シンフォニティーレイン
青い惑星の
青い海 青い空
あお

波間にはぐれ
わら小屋の木馬
トロイの隠れ家から
トランジスタRECに爆発の野菊を投げ込む

届けたのはあたたかな5月
あかね空 北のカンヴァス
上方の幾何学
コールサックが瞬き
深夜無声影像に白銀の彼方
淑やかに白鳥を孕み
波紋が造形するいちばん近しいさざ波が旅立つ


それはきっと
友人であった感性の終日

ひとり佇んでいた星空バス停では
ゆめのようなものが灯ってはきえる








自由詩 ゆめのようなもの Copyright キメラ 2007-04-23 22:00:27
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