水町綜助

熱がある

からだのふちをかたどるように
白く明滅する波
その中に
おぼれている
ひかる 虫
いくつもの
目を瞑れば
しんしんとうなされて
 寝汗


小さく開けられた窓からは
遠くアスファルトと車輪の
引っ掻き傷
ぱら ぱらぱらぱら
とカーテンを揺らして

排気音
めくりあげた
風をはらみ微かに
 遠雷


夕映えの記憶とは
赤燈色せきとうしょく
かためられた
がらすだま

それをみていた私は
みどり色でした
透かされた
硬質の
喧噪の
夜の中でした

あなたが口を開きかけたとき
たぶんわたしはもう知っていて

だから
ですよ


視界を折り畳む

そして眠る

熱がある
らしい



自由詩Copyright 水町綜助 2007-04-23 10:27:17
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