散る
ベンジャミン


春は優しい風の音色で
ひらひらと踊りながら地に還る


田舎の祖母の他界の知らせに
慌ただしく帰郷の支度をしながら
移り行く季節の名残に
そっと目を閉じる一時

思い出はいつも
一枚の絵画のように美化されて
あのふくよかな笑顔を思い浮かべてしまう

休日の明るい電車に揺られ
流れる景色の中
花びらを散らす桜に
悲しみを重ねるとき

あの薄桃色の祖母の笑顔が
次の季節へ足早に向かうのを

私はまだ遠く眺めている





自由詩 散る Copyright ベンジャミン 2007-04-22 09:24:08
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