背中

せめてもの
という慰めを残して
子猫は飛び去ってしまった
その背中に
あまりにも何もなかったから
軽く土を蹴るだけで
ぼくの見えないところまで
子猫は飛んで行ってしまった
かなしいと
足元の子犬が言う
そうだねと
ぼくはうつむき加減に返事をして
彼のために
また一着新しい服を買った
少しだけ大きくてきれいな
青色の服を

足元の彼はぼくを見上げ
かなしいともう一度だけ言った



自由詩 背中 Copyright  2007-04-21 23:11:41
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