深夜2時
あおば

                 2007/04/21
実験開始まではなにもしないでよいですから
楽な姿勢で待機していてください
スタッフに言われて
朝から待機していたが
いつまで経っても始まらない
機械が壊れたとか
技師が行方不明とか
資材が不足しているとか
電力が不足しているとか
水が濁っているとか
空気が汚れているとか
思想が悪いとか
その他、ありったけの延期の原因を考えているうちに
暗くなって
実験は出来そうもない
解散命令もないけれど
腹が空いてきた
食事の用意は出来ているとも思えない
誰もいなくなった原っぱには
大きな実験装置が錆び付いたまま放置してあって
黒々とした姿を闇に半分隠している

誰もいないから
何をしても許されると思ったが
錆びた装置は起動しようとしないし
例え動いたとしてもマニュアルも無いし
手の出しようもない
腹立ち紛れに
蹴っ飛ばしてけりを付けるには大きすぎる装置は
闇の中に黒々と半身を埋めて
深い眠りについている
こんな夜更けに
起きているのは自分だけだと気がついたら
少し怖くなった。


自由詩 深夜2時 Copyright あおば 2007-04-21 21:27:35
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