耳の産声
たもつ

長い耳のようなものに
巻かれている
なでてみると
自分の耳なのだと気づく
近くでは耳が産まれている
いくつかは知っている耳で
いくつかはよくわからなかった
産まれてきた耳は
自ら声を発しようとするけれど
みなその前に聞いてしまう
長い耳が懐かしい感じのする
他のものになったのを見計らって
少し歩いてみる
落ちていた小さな耳を踏んで
足の裏を切ってしまった


自由詩 耳の産声 Copyright たもつ 2007-04-20 09:34:08
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