最終進化系
山中 烏流

最終進化系として
何不自由ない
生活を手に入れた、生き物は
本来
自由と呼ばれていた自由を
忘れてしまって
 
這いつくばっている
他の生き物を
亡骸へと変えて
それを
自由と呼んでいる
 
 
究極の自由を
手に入れた代償の
 
究極の不自由
 
 
(規律)
(義務)
(責任)
 
 
ぶくぶくと
気泡を産んで
活動を続けている
あの
副産物の方が
よっぽど
自由に、見えて
 
無意識下
手を
伸ばしている
 
 
壊れることすら
ままならないのだから
 
不自由過ぎて
自由がありふれてしまった
 
 
(それが、偽物だとは)
 
(気付きながらも)
 
 
縛られている
隷属している
黙っている
許容して、いる
 
 
許している
 
そんな、生き物を
 
 
望んでいる
 
そんな、生き方を
 
 
自由に見放された
螺旋状を抱いて
息をしている
 
本当は、分かっている
 
 
何よりも不自由なこと
 
本当は
分かっている。


自由詩 最終進化系 Copyright 山中 烏流 2007-04-20 01:01:07
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