鱈の目
角田寿星


おいしいおいしい鱈の目
ほじくりかえす おしたしにするといいんだ
てんぷらもぜっぴんだね 鱈の目
先っぽだけまあるくつまんでみる
まえばでやさしくねぶってみるよ
鱈の目 酢みそであえよかスープにしよか
山にはまだゆきがのこっているよ
あさいみどりのもえいづるきせつだよ
そこかしこにうるうると野生の鱈の目
じっとこっちをにらんでいるよ
そんなときはほほえみでこたえよう
鱈の目はほんとはやさしいから
とげなんてこわくないから
おいしいから
気をゆるしたしゅんかんにつみとって
ありがたくごちそうになろう 鱈の目
はーるがきーた はるがきた
しもきたはんとに はるがきた
だいどこできいきいさわいでるよ 鱈の目
生きたままゆでてしまおう 鱈の目
ちいちゃんがこっそりつまみ食い
こりこりとにこにこと
くちいっぱいほおばってるよ 鱈の目
わすれたくてもわすれられない
ふるさとのあじ
ふりむけば鱈の目
つくえのひきだしにかぴかぴの鱈の目
ごぞうとうのおしなにころしたての鱈の目
山のなかぞらにくろぐろとむすうの穴ぼこが
ほんのひとときこころとおなかをうめるためだけに
ああ 鱈の目
おいしいおいしい鱈の目
ごま目あえ目ホイルやき目はるまきバター目いため
目おかかのせごもく目さんさいそば

(いただきまあす)



自由詩 鱈の目 Copyright 角田寿星 2007-04-20 00:18:02
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