はる風
ポッケ


「休学することにしたんだって」


悩む顔も
丸めた体も
涙も

しらない

割れてるのでいいでしょ?てくれたお土産のかぼすゴーフレットしか
じゃまだといって押し退けた肉付きのいい背中しか
あっつい!ってだらだら流していた汗しか


「今治療しないと立つこともできなくなるかもしれないって」


あんたは付き合いたくない男だけど
いちごひとパック
食べる間じゅう
つぶつぶした歯応えのことばかり考えていた
いちごを突き刺して
赤く染まったつまようじ
のどから流れていく
赤い液体
そんなものばかりが額のあたりにはりついて
支えていられず
テーブルにおもいを預けた


「みんなには会わずに行きたいって」


はさまれたおもさに額を痛くしながら
おもいつくだけの
世界中で行なわれている終りをテーブルにのせると
よけいに
泣いた










自由詩 はる風 Copyright ポッケ 2007-04-19 20:14:36
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